第146章 彼女は本当に頭に来た

橘沙羅は不満げに唇を尖らせると、声を潜めて母親にまくし立てた。

「ママ、聞いてよ! 先日のキャンプの時なんだけど、一条グループの一条社長……そう、あの一条星夜が、わざわざあの女を訪ねてきたのよ!」

「しかも、二人が一緒に山を登っているところを見た人までいるの! こっそり写真を撮って美姫お姉様にも送ったんだけど、お姉様ったら何もしないし……もう、本当に頭にきちゃう!」

彼女は言葉を切り、今度は本心からの不安を滲ませて橘美奈子に擦り寄った。

「ねえママ。もし……万が一、橘凛があの一条星夜に取り入るようなことになったら、お父様の目に私たちは映らなくなっちゃうんじゃない? そうなったらこの家...

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